あべのハルカスの開業が華々しく報じられる陰で、近鉄は鉄道事業でリストラ、駅の無人化をじわじわ進めているようです。
ここ松原市でも、バリアフリー化がまだ不十分な布忍駅の朝夜無人化がとつぜん強行されてしまったのですが、「セーフコミュニティ」であるはずの市の対応はどうも煮え切らない感じ…。
まずは、時系列にそって経緯を確認してみましょう。
2013年11月15日
近鉄が松原市に、以下4点の資料を持参して布忍駅の無人化(始発電車~9時ごろまで、18時ごろから最終電車まで)を申し入れ
2013年11月21日
布忍駅構内に朝夜無人化をアナウンスするポスター(上の「ご案内」を拡大したもの)が掲示される
2013年11月25日
松原市が近鉄に、「無人化の再検討」を求める要望書を提出
2013年12月10日
近鉄が松原市に、「無人化への理解をもとめる」回答を提出
2013年12月21日
布忍駅の朝夜無人化がスタート、現在に至る
*添付の資料は、松原市への情報公開請求で入手したものです
いろんな問題点がある今回の無人化ですが、そもそも、2013年3月に近鉄も交えて策定された「松原市新バリアフリー基本構想」において、布忍駅は中期目標(概ね8年)として「構内エレベーターの設置」「構内スロープの改修」などを実施すべきであると定められた(38ページ参照)ばかりなんです。
→ バリアフリー基本構想 - 松原市
無人化を進めるなら、まずは目の前の問題を解決してから、というのが当然の順序ではないでしょうか。バリアフリー的には後退どころか、構想の練り直しが必要なレベルの話だと思います。
それに、最初に近鉄が提出した「遠隔監視」の資料、これ明らかに布忍駅の写真じゃないですよね。説明して理解を求めるという姿勢じゃない、それぞれの駅がもつ特徴や問題点を考慮する気がない、というのがよく分かります。
左) 無人の時間帯は窓口がカーテンで閉ざされ、こんな注意書きが貼られているだけ。これでは係員のいる時間帯が分かりません!
右) 改札機の横に置かれたこのインターホン&カメラで藤井寺の駅員と通信して、改札を通れない切符などをチェックしたりする様子。視覚障害のある方はどうしたらいいんでしょうか…。
また、僕がとても気になっているのが広報の問題です。
これはほんとに、松原市も近鉄も「どっちもどっち」だなと感じるのですが、無人化の情報を周知する気がぜんぜん感じられないのはどういうことなんでしょうか。
それぞれ、松原市は「セーフコミュニティ」として都合が悪い、近鉄はサービスの低下はこっそり進めたい、という思惑があるのかな…と勘ぐってしまいます。
例えば、松原市は申し入れ文書で「誠に遺憾であり到底受け入れることのできない」「利用客の安全確保の面での懸案は大きい」なんてことを書いてますが、そこまで重大な事態なんだと認識しているなら、なぜ広報誌やホームページを使って周知を図らないのでしょうか?
まあ、市民病院を潰しちゃうような市なので、内心では無人化も「しょうがない」で済ませようと思ってるんでしょうけど…。
近鉄の場合はもっと露骨で、駅の構内に無人化の案内ポスターを貼り出したのは実施のたった一月前で、それも年明け早々には剥がされてしまいました。一見すると、無人化が行われていることすら分からないようになっています。
ホームページに至っては「無人化のお知らせ」などは皆無で、「どの駅がどの時間帯に無人化されているか」といった情報もまったく掲載されていません。
→ 近畿日本鉄道|南大阪線のバリアフリー施設のご案内
このことを近鉄にメールで指摘すると、「駅係員配置取り止めまたは配置時間の短縮についてのホームページ掲載につきましては、貴重なご意見として今後の検討課題とさせていただきます。」という返答が…要するに、やる気はないってことですね。
さて、近鉄が無人化を撤回する気がない以上、松原市のこれからの対応としては…
・具体的な対策は何もしないが、断固反対というポーズを貫きつづける
・他市の事例に学び、シルバー人材センター等から駅に人員を配置する
といったところが考えられます。
「セーフコミュニティ」の看板を掲げている以上、最低でも後者の措置を考えてもらいたいものですが…今後、布忍駅の完全無人化や、(利用者数が布忍駅とあまり変わらない)高見ノ里駅の一部無人化といった事態もとうぜん想定されますから、そんな場当たり的な対応でいいのか?とも思います。
「新バリアフリー構想」の進捗にも関わってくることですし、松原市にはぜひ、もっとオープンな形で市民の安全を守るぞという姿勢を打ち出してほしいものです。
何か起こってからでは遅いですからね…。
◆参考リンク
→ 松原市議会会議録の検索と閲覧
「無人化」でキーワード検索すると、12月議会での質疑応答が読めます。
→ 【2013年12月議会報告】近鉄布忍駅無人化 - 日本共産党松原市会議員団のブログ
→ 近鉄布忍駅の無人化撤回を バリアフリー化を早く! - 日本共産党松原市会議員団のブログ
すでに様々な問題が現実化しており、地域住民による署名活動もはじまっているみたいです。
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